年下彼は手強いのです,
おとなしくグラウンドから出る。蛇口をひねり、冷たい水で頭を冷やす。文字通り。

「辛気くさい顔してるじゃない」


え、と振り向いたら野球部マネージャーで…真尋の友達の…


「祐李。よろしく」

「はぁ」


取り合えず、と渡されたスポーツドリンク。「ありがとうございます」と礼を言い、ありがたく頂戴する。


「……上手くいってないんだ」

「え」


なんかこの人恐いな……。見透かされてる感がいなめないというかなんというか。


「……あの、」

「真尋のことでしょ?だからサッカーも出来なくなるなんて」


図星を突かれて言い返すことも出来なくて。それでも容赦ないらしい祐李さんは俺にとどめの一言を浴びせた。


「好きな女ひとりでこんなに揺らぐとか……餓鬼ね」


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