heart to heart ふたりのキセキ
今回の入院は、
いつもの田原先生じゃなくて、
もう少し若手の吉岡先生が主治医。

(田原先生は
 エライ先生になったらしい…)

そんな吉岡先生は、
当直でもなんでもないのに
夜も診に来てくれた。

…こうやって律も
夜遅くなったりするのかな。

寂しいだなんて言って
私ワガママだった。

今更だけど反省しちゃう。


やっと
少し楽になってきて、
ウトウトしてくる。


気付くと律がいて
背中をさすってくれてた。

律が静かに言う。


「…ごめんな」

「…なんで…
 なんで謝るの??」


心配かけてる私のほうが
律にゴメンなんだけど…


「オレ、全然柚希の力に
 なれてないから…」


どうして?

ちょっと厳しいけど、
いつも優しい律が
傍にいるだけで安心する。


「そんなことないよ…?」


律の感じてる無力感。

わからなくもないけど…。

医師免許をとったからって、
すぐに色々治せるわけじゃない。

権威っていわれてる
田原先生でさえ苦労する
難しい私の病気。


「私…大丈夫だよ?
 だから律は
 自分の患者さんを、
 しっかり治してあげて?」


精一杯のエール。


「私も、頑張るから」

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