heart to heart ふたりのキセキ
信じてる-side律-
うす暗いICU。

規則的な機械の音と
スタッフの足音しかしない。

そっと、
色の白い柚希の手をとる。

柚希は眠ったままだ。


…これで、

よかったのかな?

まだ頑張らせないと
いけなかった?

生きてて欲しいって思うのは
オレのエゴだった?


吉岡先生が言った。


「蘇生までに時間がかかってる。
 意識が戻るかどうかは…
 今のところ半々の確立だと思う。
 植物状態になる可能性も
 ないとは言えない。」


その言葉が頭をグルグル回って
どうしようもなくて、
ただ柚希の傍にいる。


「先生…
 お気持ちは分かりますけど
 …一応面会時間が;」


ICUの婦長に言われて
仕方なく席を立つ。

離れたくないから、
救急で来てオペをした
患者さんを診察して、
残務整理。

気が緩んだら
泣いてしまいそうだった。

ため息を何度もつきながら
手術記録を書く。


…なんで柚希なんだよ?

…なんで…


「道重先生」


呼ばれて振り返る。


「…っ、田原先生…!」

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