heart to heart ふたりのキセキ
それは突然。

救命の患者さんを
心臓血管外科に移した時。

たまたま病棟にいた
田原先生と目が合う。


「道重先生、
 もう少し練習が必要だな。」


って、えぇ!?;


「結び目がキレイに並ぶように。
 自分のやり方でいいから
 体に覚え込ませるんだ。」


思わぬところで見られていた;


「初めに比べたら
 だいぶ上手くなってきてる。
 もう少し続けなさい。」


はじめて評価された。

いつも出来ないことばかり
指摘され、怒鳴られ、
あきれられてるのに…。


「ありがとうございます…!」


ひとつも笑顔を見せない
田原先生だったけど、
心の中で思わずガッツポーズをした。



また糸結びをする。

できるだけ丁寧に。

見られているってことを意識して。


「柚希、見て。
 すげーキレイじゃない?」


オレ、頑張るから。

柚希も頑張るんだよ?

ぜったい目が覚める。

きっと大丈夫。

そう信じてるから。



いつものように仕事を終えて
足早にICUに向かう。

が、廊下には婦長…;

いかにもオレを待ち構えてた
ってかんじで仁王立ち。
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