heart to heart ふたりのキセキ

希望の光-side律-

【side律】

まだまだ乗り越えなきゃならない
山はたくさんあるけど、
とりあえず一山越えた。


希望が見えた。



そんなとき、
心臓外科の資料を探していると
目に留まった論文のタイトル。

-拡張型心筋症に対する
新しい治療法の提案-

アメリカの学会で発表されたもの。

去年のものだけど、
その研究チームの中に日本人の名前。


サワダ ユキオ

ヨシオカ エイジ


って！？

吉岡先生？？

所属がアメリカの病院名だから
同一人物かは疑問。

でも、あの柚希の主治医である
吉岡先生と同じ名前。

もしも、その吉岡先生が
最先端の技術を持っていたとしたら…

柚希は心臓移植をしなくても
助かるかもしれない。

そんな淡い期待を抱く。

もし、
少しでも可能性があるのならば、
それに賭けてみたい。



目が覚めて数日後、
人工呼吸器が外された柚希。


「…りっちゃん」


かすかな声でそうオレを呼んだ。

長い眠りから覚めて、
まだ現実を理解できてないようだけど、
やっと会話できるようになった。


「…わたし…まだ生きてる？」

「生きてるよ。
　大丈夫、ちゃんと生きてる」


そう言うと安心したのか
少し笑顔を見せた。