ユメみる夢みる僕のキセキ
「ふぅ~、まあ…雫にも満足してもらったみたいだから、わたしはそろそろ神社に戻るわね」

「あれ、お前、一緒に回らないのか?」

「ああ、わたしはちょっと忙しいのよ……」

「忙しい?」

 洋風神輿の上で羽付けて騒いでた奴に、何の用事があると言うのだろうか……?

「アンタ……ホントに何も知らないのね?」

「……悪かったな」

「いいわ、優実と仲良く出店を回って……神社に来なさい。そうしたら、アンタにもちゃんとあげるから」

 そう言うと、文歌はまたあの洋風神輿に戻り、祭りの客のドン引きな視線を一身に浴びながら、神社の方へと帰って行った。

「ね、ねえ、雫……」

「ん?」

「あの……手……」

 文歌が消え去った出店の入り口。
 優美は顔を真っ赤にして、俺に手を差し出して来た。
 その仕草は、どうしてか俺の顔まで真っ赤にさせ……

「うん、行こうぜ」

 俺は優美の小さな手を握りしめて、二人で出店を回り始めた……
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