ユメみる夢みる僕のキセキ
「あ、そうだ! 今度はあの子も連れてきなさいね雫ちゃん!」

「…あの子?」

 けど、席を立った俺に言ったおばさんの一言が脚を止めた。


「おばさん……一体、誰を連れて来るの?」

 おばさんは誰の事を言っているのだろう?
 この世界にはもう、俺と一緒に居てくれる人なんて居ないのに……

「ほらほら、あの可愛い女の子よ! 昔、雫ちゃんとよく来てたじゃない!」

 可愛い女の子? 
 昔、俺と一緒に来てた?
 何言ってるんだよおばさん。
 誰の事だよ? 
 誰かと勘違いしてるのか?
 母さん……じゃないな、幾らなんでもあり得ない。


「今、雫ちゃんと同じ高校の同じクラスに居るんでしょ~! この間、あの子が来た時に行ってたのよ!」

 同じ高校に同じクラス?
 あり得ない……クラスの連中なんて、だれ一人として関わりなんて無い。

「その子の名前は……?」

 何処のどいつだ、そんなふざけた事を言いやがったのは!
 ……冗談のつもりならタダじゃおかない!

「あら~、雫ちゃん。本当に忘れちゃったのね~、あの子の言った通りだわね……」

 言ったとおり、俺が忘れる?
 何を言ってるんだ?
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