ユメみる夢みる僕のキセキ
「――優実ちゃんよ、優実ちゃん! 雫ちゃんの幼なじみよ」

 ………ゆう……み?
 ……聞き間違いか……有る訳がない……

「あ、でもこの事はおばちゃんが言ったって言ったら駄目よ雫ちゃん。優実ちゃん、雫ちゃんが気付いてくれるまで待つって言ってたんだから!」

 聞き違いじゃない……
 確かに『優美』って言ってる!?

「毎日、毎日、教室に入って来る雫ちゃんに「おはよう」って一番に言って、気付いてくれるのを待ってるって言ってたわ。……早く、気付いてあげなきゃだめよ」

「ちょ、待って!」

 おばさん、だから何言ってんだよ!?
 たしかに、毎朝、クラスに入ると必ず俺に挨拶をしてくる奴が居た。
 それも、馴れ馴れしく名前で……
 でも、俺は一度たりともまともに返した事なんて無いぞ?
 そいつの顔は……
 ダメだ、解からない。
 クラスの奴なんで、どいつもこいつも、ウザくて、顔なんて覚えて無い。


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