ユメみる夢みる僕のキセキ
 ああ、そうだったのか。
 この変な声の奴に言われて……ようやく気が付いた。
 そっか、俺が望んだんだ。
 この先、これ以上こんな思いをするくらいならいっそ、端っから何もなくていい。
 一人になりたい。
 両親を失った日、そう願ったんだった。
 そう願ったら、何かが……壊れたんだ。

『別に……あなたが悪かった訳じゃ無い。誰だって、愛しい人を失うのは悲しい。あなたを愛してくれていた思いが大きいほど、悲しみと辛さも大きい。……ましてや、こんな幼いあなたになら、自分の世界を壊してしまう選択を選ばせても……仕方のない事だった』

 ――もう、何も言うな。
 ――そうだな、今思えば、一人きりは楽だったのかもしれないな。
 誰とも関わらず、ただ同じ毎日を繰り返してさえいれば何も失わなくて済むのだから。
 何もない壊れた世界を……ただ、生きていくだけなら。

『でも、あなたは何時しか気づいてしまった。一人きりの自分に、何の意味があるのかと。何時しか長い時間を孤独の内で過ごしている内に思ってしまった。誰かに……側に居てほしいと願うようになってしまった』

 そうかもな……。だとしても……もう、遅すぎた。
 ――気づくのが、遅すぎたんだよな……はは……

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