ユメみる夢みる僕のキセキ
「雫ちゃんっ、大丈夫!? ……っ、やめてよ! 雫ちゃんを苛めないでっ!」

 誰だ?
 親戚たちにあしらわれた俺の下に、小さくて必死に親戚たちの前に立って俺を庇ってくれた。
 それは本当に……小さな女の子。
 見覚えがある、あの子は……
 冬の日、ペンションの近くの泉で、星空を見た女の子だ。


「大丈夫、大丈夫だからねっ、雫ちゃんっ!」

 その女の子は……
 弱くて、目の前の現実にすべて壊された俺を抱きしめて……
 微笑んでくれて……
 周りがどんなに俺を遠ざけても、たった一人だけ俺の側に居てくれた。
 ……知ってる。
 俺はこんな女の子を知っている。
 
「雫ちゃんっ、わたしの家に来てよ。パパとママは今海外に行っちゃってるけど、雫ちゃんの事、すっごく心配してるんだよっ。雫ちゃんがいいって言ったらね、雫ちゃんも一緒にわたしの家に住んでってパパとママが言ってたんだよっ!」

 女の子は俺を肩を掴んだまま、俺と向かい合って優しく言ってくれた。
 ああ、知ってる俺はそんな優しいお前を知っている。
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