ユメみる夢みる僕のキセキ
「いいよ、優実。もう…大丈夫だから!」

「……雫…」

 優実が何を焦っているのか何となく解る。
 それは夢は現実では無いからだ。
 そう、この温かい世界は現実じゃない。

「優実が側に居てくれる……今の俺なら、大丈夫。もう、どんな事だって乗り越えられるから。だから……心配すんな」

 でも、今の俺なら……
 優美が居る俺なら、その事実を受け止められる。

「……うん。信じてるよ雫ちゃんっ!」

 そう言った俺を優実は信じてくれて、微笑んだ。

「へぇー、少しは逞しくなったじゃない。でも……勘違いしちゃダメよ、夢って言うのは決して幻なんかじゃ無いのよ」

「やっぱ……そうだよな」

 そう、此処が夢であったとしても……
 いつも家で待っていてくれる母さんの優しさも、父さんの優しさも……俺には幻なんて思えなかった。

「それに、これは雫の夢じゃ無いわ」

「え? 夢を見てるのは……俺じゃ無いのか?」

「……いいえ、雫は夢を見てる。でも、この夢を願ったのは雫じゃないって事よ」

「じゃあ、誰の?」

「それは自分で気づかなきゃいけない事。そして……この夢を叶えられるのは雫だけ。だから、雫は選べる。……ずっと、この夢の中に居る事だって出来るわよ」

 ずっと、この夢の中に居られるのか。

「でも、忘れないで……夢を叶えられるのに夢を叶えないのは、夢を見る人にとっては辛い事なのよ」

 そう言った文歌はポケットから何かを取り出して俺に投げた。
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