ユメみる夢みる僕のキセキ

「ふふ、よかったわね優実」

「うんっ、よかったぁ～～えへへっ……」

　完全に顔がニヤついて崩れっぱなしの優実は指にはめた指輪を見つめながら文歌に言う。

「夢を叶えるのは焦らなくてもいいのよ。……今は思いっきり楽しんで、いままで出来なかった、数えきれな程あきらめた事をしなさい。そして最後に……笑っていられればきっと夢を叶えられるんだから」

　そんな幸せそうな優実を見ながら、俺の肩に手をのせた文歌は静かに言った。
　本当に文歌は何でも知っている……

「……お前、一体何者だよ？」

　優実は俺の幼馴染で、ずっと俺の側に居てくれた。
　だったら……文歌は一体誰なんだ？
　どうして、俺の側に居てくれるんだ？
　思い出を取り戻した俺の中には、文歌は居ない。
　文歌と出会ったのは……
　本当に、この夢が初めてだ。

「ふふふ、さあ……？　でも、きっとわたしの事は雫も知ってるわよ！」

　俺も知ってる？　って事は知り合いか？
　いや、そんな筈は無い。

「不思議な奴……」

　でも、きっと悪い奴じゃ無い。
　だって……文歌はヘタレな俺を助けてくれた、大事な友達だからな。