ユメみる夢みる僕のキセキ
「……息子の将来とか心配じゃ無いのか?」

 別に、俺も学校に意味など感じた事はない。
 前に、文歌と優実も言っていた。
 数学や社会、理科、学校で教えてくれるものは殆ど将来に何の役にも立たないって。
 ……俺もそう思う。
 だけど、必要が無くとも、やらなくてはいけない。
 進学の事、就職の事、周りからの評価の為。
 使えなくても、しなければいけない。
 きっと誰だってそうだ。
 何の役にも立たなくても、やらなければならないからやるんだ。
 ……特に、親の居なかった俺にとっては、それは絶対に必要なものだった。
 そんな思いで言った俺の言葉を、母さんは悲しそうな顔で返した。

「雫。……雫は何時の為に生きているの?」

「え……それは…」

 将来? 未来? 幸せになる為? 
 何を考えるんだ俺は……?
 同じ毎日の繰り返しに絶望して、ただ何も望まずに生きてきた。
 これ以上、誰とも繋がりを持ちたく無くて孤独を望んだ。
 そんな俺が……先の事を考えてるなんて……
 俺は……何がしたいんだ?
 そんな事をしたって、幸せな明日なんて来るのか?
< 165 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop