ユメみる夢みる僕のキセキ
何もせず、ただ、部屋のベット上で寝転がっていた。
なんだかな……、こうやってダラダラと時間を感じるのは久しぶりだ。
ただ、ご飯を待っているだけなのに、それが、やけに新鮮で、嬉しく思えた。
「ゆ、優実ちゃんに、文歌ちゃん!? その格好はどうしたの!?」
まあ、それも一瞬で終わったのだが……
玄関の方から二階にあるこの部屋まで聞こえるほど大きな声で、母さんが何やら騒ぐ声が聞こえてくる。
「はは……騒がしいな」
此処は、余りにも騒がしい。まるで、別な世界に来たようだ。
もしかしたら、本当に別世界かもな。じゃなきゃ、死んだ母さんと父さんが居る訳ない。
後、作った覚えのない友達と……世話焼きな幼馴染もだ。
俺は少し溜息を吐きながら、部屋の扉を開け、玄関に向かった。
「あ、これはその……」
「ちょっと、色々ありまして……」
玄関につくと、服を着替えてやってきた優実と文歌がいた。
ただ、足や手には傷。それに顔にもまだ泥が跳ねていた。
……と言うか、そう言えば母さんに何があったか、話すのを忘れていた。
理由を聞く前に、俺の体を心配して手当てを始めた母さんだ。きっと母さんも忘れていたのだろう。
「すぐに上がって。手当てしてあげるから! ほら、雫も手伝って!」
そんな二人を母さんと俺は居間へと連れて行った。