ユメみる夢みる僕のキセキ

　どの道、知らない人間である事は変わりない。
　当初の予定通り、とにかく学校に行く事を優先し、知らない二人を無視して玄関に行き、そこにあった自分に合いそうなサイズの靴を勝手に履き玄関のドアを開けた。

「まって、雫！」

　しかし、突然。エプロンを着た『母さん』と呼ばれる人が走って来て俺を呼び止めた。
　一体、今度は何だ…？
　意味も解らず立ち止まり振り返ると……

「いってらっしゃい、気をつけていくのよ」

　『母さん』という人が優しそうな顔で自分に手を振るのだった。
　何してんだこの人？　いや、それ以前に……

「……いってきます」

　俺も何を言ってるんだ？　目の前に居るのは知らない人なのに。
　でも……両親が死んでから、そんなこと言われたのなんて、何時以来だろう？
　そんな事を思い少し頬が赤くなっている自分に気づき、恥ずかしい気持ちを隠しながらドアを閉めて知らない家を出た。