ユメみる夢みる僕のキセキ
案の定、知らない家を出ると何時もとは違う風景が広がっていた。
でも、知らない風景ではなかった。周りを見渡すと視界に映る風景の中に見覚えのある店の看板や道が見える。
そこから此処(ここ)の場所を推測すると、おそらくは橋を渡った隣町。
自分の家から学校までの道のりよりは時間が掛かるが、迷うような所ではない。
居場所は解った為、問題はなかったのだが……
「雫…あの……」
この、知らない家の前で待ち伏せをしていた人物が新しい問題を生み出した。
「お前、朝の…!? まだ何かあるのか?」
そう、朝起きた時に部屋に入って来た図々しく馴れ馴れしい同じ高校の女子だ。
その女子は、泣きそうな顔でずっと俺を見てくる。
「な、なにって……一緒に学校に……」
この女…まだ懲りてないのか……?
「なぜ、俺がお前と一緒に登校しなくてはいけないんだ?」
今日初めて会い、名前すらも知らない奴と何で一緒に登校しなくてはいけないんだ?
「雫、一体どうしちゃったの? わたしは……」
もう話を聞くのも面倒だ。何か言いかけていた女を無視して、俺は学校までの道のりを一人で歩き始めた。
……なのに、学校までの道のりをずっとピッタリと後ろに付いてこられて、只でさえ朝から意味のわからない事が起こりイライラしている頭に更に苛立ちが増し、何度かしゃべり掛けられたが完全に無視をし続けた。