ユメみる夢みる僕のキセキ
「あ、そうだ、雫!」

「え、なに?」

 タコさんウインナーを口に入れようとした時。突然、優美がなにか思い立ったように俺を見る。

「今日さ、帰りに映画、見に行こうよ!」

「え、……なんで急に?」

「おばさんから、ペアチケットもらったの忘れてたの。期限、今日までだったの」

「映画か……」

 映画はあまり好きじゃない。と言うより、人混みがあまり好きじゃないんだ。

「久しぶりに行こうよ、昔みたいに、ポップコーン買ってさ。あー、でも雫、ポップコーンばっか食べて、あんまり映画見て無かったよね、へへ」

 ……そうなんだ?
 俺には優美と映画に行った記憶など無い。

「そうだったな。しかたない、久々に行くか」

 けど、優美があるって言うんだったら、そう言う事にしておこう。
 最近、よく優美に昔話をされると、俺はいかにも覚えているように振る舞うようにしている。
 だって、知らないって言うと、優美は悲しい顔をするんだ。

「あ、でも、文歌ちゃん……」

「いいわよ。二人で行って来なさい。……幼なじみ同士でね」

 なんだ?
 文歌は仲間外れにされて不貞腐れてるのか、俺を睨んでいるような気がする……
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