ユメみる夢みる僕のキセキ
映画は恋愛モノだった。
小さな頃から一緒に育って来た幼なじみのジョーンと言う男とメアリーという女。
でもある日、ジョーンが事故にあい、記憶を失ってしまう。
それから、というもの、ジョーンは自暴自棄になり、心配して側に居てくれようとするメアリーに酷い事を沢山した。
けれど、それでも側に居てくれたメアリーと長い時間を過ごすうち、ジョーンは記憶を取り戻し、二人はハッピーエンドで終わる。
……そんな内容だった。
「良い話だったねぇ~~~ひっく……」
優美はクライマックス辺りから感動して泣き続け、映画が終わり、映画館の出口に居る今も、俺の手を握りながら泣いている。
「よかったね、ジョーン。全部失っても、またメアリーと一緒になれて……」
「思い出すものが……あったからだろ」
記憶を失おうが、取り戻せるならいいさ。
俺は初めから持ってないんだ……そんなもの。
「ひっく……雫?」
「あ、いや、なんでもない! はは、なんか腹減ったな」
「じゃあ、なんか食べてこうよ」
なんか映画を見てからモヤモヤする気持ちを隠し、俺と優美は何処がご飯を食べる所を探すことにした。