ユメみる夢みる僕のキセキ
優実は可愛らしくて明るい女の子だ。
俺の事をいつも心配して、世話を焼いてくれる。
自分の時間を殆ど俺に尽くしてくれていると言ってもいい程にだ。
どうして、優実はそこまで、俺に構ってくれるのだろうか?
それはきっと、俺の知らない時間が、そうさせているのだろうか?
「いらっしゃいませ~~~!」
そんな考え事をしながら、優実が風邪を引いた日の夕方、俺は冷却シートとスポーツドリンクを買いに、近くのコンビニに来ていた。
「あ、ちょっと、雫!! アンタ、なんで今日、学校、休んだのよ!!」
カゴにスポーツドリンクを詰め込んでいる最中、聞き覚えのある声の主に、背中を叩かれた。
「……痛い。少しは加減しろよ、文歌」
こんな事を俺にする人間は、月森文歌という同級生以外は居ない。
そういえば、俺は文歌の事もよく知らない。
振り返り、文歌の顔を見て、そう気付いた。
「あはは、ごめん、ごめん。……で、アンタは何やってんの?」
「ああ、優美の奴が風邪ひいてな」
「あ~、それで、こんなに沢山、冷却シートとスポーツドリンクなのね」
「そうだ」
「で、更に、優実が心配でアンタは一緒に学校休んで看病をと?」
「……悪いかよ」
文歌は俺の持つカゴと俺の顔を交互に見ながら溜息を吐いた。