ユメみる夢みる僕のキセキ
 綺麗な布で出来た、ピンク色のリボンがついた袋。文歌が俺に渡したモノだ。

「本当はあたしが買った奴だけど、アンタにあげるわ。……優美に渡しなさい、誕生日おめでとうって言ってね」

「たん……じょうび?」

「今日は4月1日。あの子の誕生日よ」

 知らなかった。
 なんで、優美は俺に言わなかった?

「優美との付き合いは長いわ。あの子は自分から誕生日なのなんて、言わない。いえ、言いたくないのよ……忘れられてるなんて、悲しいから」

「……嘘だ。優美はそんな事、気にする奴じゃない」

 そうだ、本当に優美が今日、誕生日なら、言ってるはずだ。

「優美は……明るくて、世話焼きで、たまに我儘な事をいう、そんな奴だ」

 俺の知ってる優美はそんな奴だった。

「……全部、アンタの所為じゃない」

 文歌は俺の顔を見ながら、悲しそうに呟いた。
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