promise ~夏の約束~
「…ただいまー。」
玄関のドアを開けぶっきらぼうに呟く。
「あら、おかえり。早かったのね。」
母親がひょこっと顔だけ見せる。
「ん、明日から夏休みだから。とりあえず夏海(ナツミ)さんに電話してくる。」
俺はそう言うと自分の部屋に籠もった。
夏海さんとは母親の知り合いで、居酒屋を経営している。
短期のバイトを提供してくれる人で、
しかも多少の融通を効かせてくれる人だ。
「――…あ!もしもし。夏海さん?」
俺は慣れた手つきで夏海さんに電話する。
俺があの場所を離れてから6年。
中学の頃はお年玉や親からの金でなんとか帰省できていたが、
高校生になり去年からバイト代で帰省するようになった。