promise ~夏の約束~
余裕も理性もない俺に沙織はさらに近づく。
「久しぶりだね。」
「お前が忙しいからだろ。」
沙織が中学に上がってからめっきり会わなくなった。
部活とかテストとか…。
沙織を見ていると中学生になるのがちょっと嫌だと思った。
「お前って言うな。」
沙織は俺の頬をツンツン突きながら怒る。
「ツンツンすんな。」
俺も沙織の口調を真似る。
「…変わんないね~。翔は。」
沙織は少し嬉しそうに微笑んだ。
どんどん近くなるふたりの距離。
沙織の見慣れた笑顔でさえ、俺の心は静まらなかった。