promise ~夏の約束~
俺はどちらの顔も見れず目を泳がせていた。
「…さいて!最低!」
事態を飲み込んだゆかりは泣きながら俺を部屋から追い出した。
「最低!最低!翔なんて嫌い!帰って!嫌い!帰って!」
近くにあったぬいぐるみやクッションを投げつけ、泣きながら喚くゆかり。
俺は投げられるものと一緒に部屋から出た。
そのまま廊下の壁にもたれかかるように座り込む。
な…ん、だったんだ…?
俺の思考は一瞬ショートする。
ここはゆかりの部屋で
沙織とキスして
ゆかりが泣いて…
ゆかりが…泣いて…?
「…いッ!翔なんて嫌いッ!」
ゆかりの泣き叫ぶ声だけが部屋の中で響いていた。