promise ~夏の約束~


俺は一瞬耳を疑った。



だけど泣きそうな声と



震える後ろ姿から呟かれたのは



間違いなく『好き』だった。



「…なん…っ」



再びあの感覚に陥る。



何を話しているのか


何をしているのか


俺にはわからないんだ。



「翔はお姉ちゃんが好きなんでしょ!?
だからキスしたんでしょ!?
そうでしょ!?」



泣き叫ぶゆかりの声に俺の頭はゆっくりと考えはじめる。



沙織が…好きだった?



俺は沙織が好き…?



俺は…



「俺はお前がっ!」




『好き』そう言おうとした時だった。



「言わないでッ!」



ゆかりが両手で耳を塞いだ。



「ねぇ…好きって言ってよ。
お姉ちゃんが好きって、言ってよ。
そうじゃないと…私…翔のこと嫌いになっちゃうよ…。」







< 134 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop