promise ~夏の約束~
俺は一瞬耳を疑った。
だけど泣きそうな声と
震える後ろ姿から呟かれたのは
間違いなく『好き』だった。
「…なん…っ」
再びあの感覚に陥る。
何を話しているのか
何をしているのか
俺にはわからないんだ。
「翔はお姉ちゃんが好きなんでしょ!?
だからキスしたんでしょ!?
そうでしょ!?」
泣き叫ぶゆかりの声に俺の頭はゆっくりと考えはじめる。
沙織が…好きだった?
俺は沙織が好き…?
俺は…
「俺はお前がっ!」
『好き』そう言おうとした時だった。
「言わないでッ!」
ゆかりが両手で耳を塞いだ。
「ねぇ…好きって言ってよ。
お姉ちゃんが好きって、言ってよ。
そうじゃないと…私…翔のこと嫌いになっちゃうよ…。」