promise ~夏の約束~
「毎年毎年、悪いわねぇ。」
おばあちゃんが俺に冷たい麦茶を出しながら言う。
「いや、悪いのは俺の方っすよ。」
中学の時から今まで5年間、俺はずっとこの家にお世話になっている。
「雪姫ちゃんが居なくなってから、もう5年なのね。」
雪姫は俺が引っ越しした1年後、父親の親戚に引き取られたそうだ。
中学に入ると同時にすれ違った俺達。
あと少し、あと少し、早ければ雪姫に逢えたのに。
雪姫に謝れたのに。
俺はため息をついて天井を見つめる。