promise ~夏の約束~


―――――…



それから長い時間が経った。



機械の音だけが響く部屋。



誰一人、口を動かすこともなく



ただ祈り続けていた。



明日も学校だ。



もう帰らないと電車が終わってしまう。



それでも私と祐希は動かなかった。



じっとおばあちゃんを見つめ耐えた。



…お願い!目を覚まして!



何度目のお願いだろうか。



私はまた深く祈った。



―――…ピクッ



すると微かに動くおばあちゃんの指。



「…え?」



私は思わず声をあげる。



「どうした?」



祐希が驚いたように私を見つめる。



「…指が…、微かに指が動いたの!」



右手の中指が動いたの。



私達はまた祈るような思いでおばあちゃんを見つめた。



お願い!もう一度!



頑張って、おばあちゃん!






< 160 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop