promise ~夏の約束~


正直、この家は居心地が悪い。



雪姫といた5年間がそこら辺に転がっている。



古い天井を見上げれば満月を見たあの日を思い出し、


雪姫の部屋に行けば雪姫の香りに包まれる。



おばあちゃんとおじいちゃんと雪姫と俺と、4人で囲んだ食卓。


一緒に入ったお風呂。


泥だらけになった庭。


びしょびしょになった川。


この家だけじゃない。



この町全体が俺に雪姫を思い出させた。




そして同時に『嘘つき』と言われている気がした。







< 17 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop