promise ~夏の約束~
正直、この家は居心地が悪い。
雪姫といた5年間がそこら辺に転がっている。
古い天井を見上げれば満月を見たあの日を思い出し、
雪姫の部屋に行けば雪姫の香りに包まれる。
おばあちゃんとおじいちゃんと雪姫と俺と、4人で囲んだ食卓。
一緒に入ったお風呂。
泥だらけになった庭。
びしょびしょになった川。
この家だけじゃない。
この町全体が俺に雪姫を思い出させた。
そして同時に『嘘つき』と言われている気がした。