promise ~夏の約束~

転校生――→雪姫side



「…雪姫?」



駅の改札を抜けると同時に誰かに名前を呼ばれた気がした。



懐かしい声で。


思い出したくない声で。



しかし私は振り替えりはしなかった。



会ってしまうのが怖かったから。


あの時に戻るのが怖かったから。



私は急ぎ足である場所へ向かった。



5年ぶりのおばあちゃんの家。



道は覚えてなくても一本しかない。



畑や田んぼと畑と点々と建てられた家を越えながら『村井』の表札を探した。






「…あった。」



懐かしい広い家に、花の匂いがいっぱいに広がる縁側。



間違いなく私が育った家だった。







< 25 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop