promise ~夏の約束~
転校生――→雪姫side
「…雪姫?」
駅の改札を抜けると同時に誰かに名前を呼ばれた気がした。
懐かしい声で。
思い出したくない声で。
しかし私は振り替えりはしなかった。
会ってしまうのが怖かったから。
あの時に戻るのが怖かったから。
私は急ぎ足である場所へ向かった。
5年ぶりのおばあちゃんの家。
道は覚えてなくても一本しかない。
畑や田んぼと畑と点々と建てられた家を越えながら『村井』の表札を探した。
「…あった。」
懐かしい広い家に、花の匂いがいっぱいに広がる縁側。
間違いなく私が育った家だった。