promise ~夏の約束~
知らない人――→祐希side
今日一日の俺、上の空。
いや、今日だけじゃない。
雪姫を見つけたあの日から、俺の頭は過去から返ってこれない。
「ゆーうきっ!」
2年5組の教室に陽気な声が響く。
「…翔。」
俺は顔を上げると小さく呟いた。
「ずいぶん冷たいな~。夏休み1回も電話くれなかったくせに~。」
翔は酒に酔った女のようにまとわりつく。
「ウザイ。離れろ。」
俺は翔を離すと「用件は?」とわざわざ隣のクラスに来た理由を問う。
「あー…、それよりお前夏休み収穫あった?」
翔は目を泳がせながら話題を変えた。
収穫とは雪姫のことだろうか。
「まぁ…な。」
俺は動揺を隠しながら答えた。
「で?何だよ。」
「あー…、たぶんハズレなんだけどさ。俺のクラスに"ユキ"ちゃんが転校してきた。」
翔は勿体ぶるように呟く。