promise ~夏の約束~
翔は黙って俺の背中を叩くと、
「正解か。」
ボソッと呟いた。
あぁ、正解だ。
あの子が"雪姫"だったことも。
雪姫がとった行動も。
「雪姫にとって俺は忘れたい過去なんだよ。」
俺はずっと忘れないように今まで"過去"を引きずってきた。
だけど、雪姫は俺を"思い出"に変えたんだ。
記憶に残らないように。
思い出さないように。
俺は震える唇を噛んだ。
「帰るわ。」
早く帰らないと。
早くひとりにならないと。
…泣きたくて仕方なかった。