promise ~夏の約束~
「…話って?」
静かに呟く小宮。
俺はその瞬間すぐにわかった。
小宮は待ってるんだ。
学校では明るく振る舞うくせに、この家には笑顔の欠けらもない。
引っ越しのために使われた段ボールに思い出なんて入っちゃいない。
生活感のない空間。
生きようとも生きたいとも思わない人生。
そんな場所で小宮はずっと過ごしていた。
育ってきたんだ。
ただずっと祐希を待っていたんだ。
「泣いてた?」
俺はゆっくり小宮に近づいた。
祐希やゆかりが近くにいたら絶対に止められただろう。
俺はそのまま小宮を抱き締めた。