promise ~夏の約束~
休みのたびに俺は雪姫の家に行く。
ただ、そこに雪姫はいない。
雪姫が一緒に住んでいたおばあちゃんとおじいちゃんが居るだけだ。
「…仕方ねぇよ。」
俺は頭を撫でる翔の手を払いながら呟いた。
――――"約束"を破ったのは俺なんだから。
本格的な夏の暑さが始まるこの季節。
俺は雪姫を裏切った。
最初で最後の嘘だった。
『また明日な!』
"明日"なんてないのに。
"また"なんてないのに。
俺はそう言って笑顔で雪姫に手を振ったんだ。
明日、俺はこの町を引っ越すのに。