強気恋愛。
駅のロータリーの前。

腰の高さのステンレスのフェンスに手を置いた。

小6の頃、塾の帰りはいつも

そこでお母さんの迎えを待ってた。

中学受験。それなりに楽しかった。

ステンレスの冷たさが手に伝わってくる。

それからまだ2年しか経ってないのに、

すごく懐かしい冷たさで、涙が出てきた。


あの楽しさはどこから来てたんだろうって思った。

何で今は楽しくないんだろうって疑問に思った。

そして泣いた。


人に泣いてるところを見られたくなくて、

ブレザーの上から着ているパーカーの

フードを深く被った。

肩にかけたかばんはすごく重かった。


お母さんが来るまで結構時間がかかった。

見慣れた濃いグレーの

ワンボックスカーを見つけた瞬間、

妙な安心感があった。

ウチを迎えに来てくれる人は

ちゃんといるんだって思った。

そして泣いてたことを悟られないように涙を拭いた。
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