月夜の散歩
戸惑い
「先週行けなくてごめんね〜絵美先生。」
「いいょ〜気にしなくて。マスターと盛り上がったし。」
暖かな陽射しが差し込む午前中の空き時間に、絵美先生のいる保健室で生徒には内緒のティータイムを楽しむのが日課になっている。
「それにしても……見たかったなぁ〜悠斗」
絵美先生がしみじみ呟く。
「そうなの〜??別に普通だょ〜」
「普通じゃないわよ!芸能人なんて滅多にお目にかかれない…。」
「…ぁ〜まぁ…そうだね〜」
「しかも、あの悠斗でしょ!」
「……そんなに有名なの??」
私の発言を聞いて絵美先生が大きなため息をはく。
「…はあぁ…たくぅ〜……知らないにもほどがある。」
絵美先生が立ち上がり、数冊の雑誌を持って来て見せてくれた。
そこには……
表紙を飾っているのもあれば、有名ブランドの広告になっているのや、特集を組まれている雑誌もあった。
「…………す…ごいね…」
どれを見ても必ず載っているのに驚いた。
「みのり先生は世捨て人??」
「違うよぉ〜〜!!!」
思わず大声になる。
「…だって……教師の仕事ってやること多くて、テレビなんか見る余裕ホントに無いんだもん…。」
ぼそぼそつぶやく。