月夜の散歩
郊外にあるこの高校は周りに緑が多く、高台に建っていることもあり素晴らしく眺めがいい。
春になれば、校庭を囲むように植えられたたくさんの桜が綺麗に咲き誇る。
なかでも、中庭にある一番大きな桜が早く咲かないか楽しみでしかたがない。
「早く咲かないかな〜」
遠くに部活動の音が響くなか、中庭の桜の木を眺めるのがこの頃の日課になっている。
「みのりちゃん先生〜〜…市島っち探してたょ〜」
「アッッ!!…やばっ」
校舎上から男子生徒が教えてくれた。
「ありがとう〜〜」
男子生徒に手を振りながらお礼を言い、職員室へ…。
「呼ばれてたんだった…」
3階建ての校舎2階にある職員室に向かうため、階段を小走りで上がる。