【短編】ヘタレ君のわがままなカノジョ。
ちょっとびっくりしながらも、一応口元に笑みを繕って対応します。
「あたし、隣のクラスの皆川って言うんだけど…知らない!?」
えぇ?知りませんよ。
だって、初対面でしょ。
顔だけは、ギリギリ隣のクラスの人だと覚えてましたけど。
「えーっと、ごめん。知らない。」
俺がそう言うと、彼女は悲しそうに目を伏せてしまいました。
「だ、だよねー。ごめんね、突然変なこと言って。」
…なんだか、こっちが心苦しくなりますね。
「ごめんね。俺が忘れちゃってるのかも。話したこと、あったっけ?」
俺がそう尋ねると、彼女はこくりと頷きました。
「前に、体育館で少しだけ。」
体育館…。
ああ!!
体育館でようやく思い出しました。
「先月の!」
俺が思い出したとわかったのか、皆川さんは顔をほころばせました。
「そう、その時です!」
そうです、先月僕は彼女と話しをしたんです。