【短編】ヘタレ君のわがままなカノジョ。
「じゃあ、食べよっか!」
教室で、机を並べて待っててくれた君のさりげない優しさ。
この飴と鞭、たまりません。
「いただきます。」
俺は家から持ってきたお弁当を開き、食べはじめます。
君はまず、チョココロネの代わりに買ったチョコマーブルパンを頬張りました。
ああ、可愛すぎます…。
わざとでしょうか。
頬っぺたに、クリームが付いています。
「ん、これ結構美味しい。ハル、ナイス。」
そう言って、まるで犬を誉めるように俺の頭をなでなでします。
もちろん、ちょっと恥ずかしそうにしながら。
真っ白で綺麗な肌が、みるみる内に真っ赤になっていきます。
「…ちょっと、食べる?」
ん、これは予想外の展開です。
恥ずかしがり屋の君が、そんな提案をしてくれるなんて。
嬉しさが顔に出ないよう、必死に平然を装いながら頷きます。
すると君は、更にゆでダコみたいに真っ赤になってパンを俺に差し出しました。
なんでしょう、この幸せな状況は。