コレット
 レニオは会社の昼休みに、昼食も兼ねてコレットのカフェに行ってみた。


 店内は客で一杯で結構、賑やかな雰囲気に包まれていた。


「お待たせしましたー! モカとチョコスィーツのセット3つですねー!」


 久しぶりに聞く女店長コレット・カイザス嬢の元気な声。


 さわやか笑顔をふりまきながら、テキパキと動き回っている。


「ひゃー、満杯だなァ」


 レニオは店内を見回し、空いている席は無いか探してみた。


 コレットの視線がレニオの姿を捉える。


 コレットは何の反応も見せず、レニオを奥のカウンター席に案内した。


 何事もなかったように冷水を持って来て、オーダーを取り始めるコレット。


 レニオが頼んだのは前と同じように、ホットブラックとベーグルサンドのランチセットである


 コーヒーの香りも、サンドの味も前と変わらない。


 ゆっくりと食事をするレニオ。


 コレットはテーブルの紙差しに伝票と小さなメモ紙を差し込んだ。


 小さく折りたたまれたメモ紙を広げて見る。


 今夜、8時に店で待ってます。
 コレット…


 こう、書かれてある。
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