変人執事とツンツンお嬢様
救世主
―――……
そして一夜あけ、引っ越し当日。
もう荷物は送ってある。
「弥呼さま、お元気で」
「いってらっしゃいませ」
「弥呼さま」
「弥呼さま、お車の準備が…」
「弥呼さま」
支度を終え玄関に向かう途中、たくさんの使用人たちが集まっていた。
……お父様は、いない。
(…みんな私に興味があるワケじゃない)
みんな、みんな
私にではなく、お父様に
家柄に興味があるだけで
感心は私には向けられていない。
「…うるさい。騒がしいのは苦手だ。見送りはいらない。」
ぴしゃり と言い切り、ぽかんとしている使用人たちを無視して外に出た。
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