変人執事とツンツンお嬢様


「弥呼さま、先日のチョコレートはお召し上がりになりましたか?」


「あぁ…美味しかった。
感謝する…零慈くん。」





「夜雅御さん」から呼び方が変わった。



いつだっただろうか、零慈くんがいきなり


『呼び捨てにしてください』

と言ってきて、さすがに年上だし…と拒否すると



『では「零慈くん」ではいかがですか?』

と彼が提案したのだ。



断るにも断れず、そのままこうなったワケで。


何か特別な感謝があるワケではない。





「また何かの機会に買って参りますね。」


「あぁ、ありがとう。」






それでも、彼には感謝している。



こんなに態度や口、性格まで悪い私に、こんな風に笑いかけてくれるのだから。


変わっている彼だからこそ、できる役なのだと思う。



でないと私の「専属執事」は勤まらないだろう。




.
< 101 / 173 >

この作品をシェア

pagetop