変人執事とツンツンお嬢様


と、そんな努力も虚しく



「弥呼さま…」

「っ!!!」



思わずピクッと肩が上がる。


車を運転しているのは…お母様の執事だった波川さん。

40代くらいで、優しい雰囲気をした紳士的な人だ。



お母様が生きていたとき…中学生になる前までは、よく一緒に遊んでいただいていた。




「弥呼さま。大きくなられましたね。本当に立派に……成長なされました。」

「……」


「美代子さまが亡くなられてから…遠くからですが、見守らさせていただきました。」


「…ぇ……」



鏡越しに微笑む波川さん。


……見守らさせて…

波川さんはずっと、お母様が亡くなってから…




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