変人執事とツンツンお嬢様
引きずられるようにして階段をおりて
あっという間に下駄箱へ。
(……っ、走るのは苦手だ…)
はぁはぁ と息が切れている私をお構い無しに、彼女は靴を履き替える。
……体力には自信がない。
「…ぁ、の。」
「……」
「手…繋がれたままだと靴がはけないんだけど…」
「…」
表情も変えず、私の言葉を聞く。
…完全なるポーカーフェイス。
「…はい」
ゆるゆると放された腕。
素早く靴をとり、履き替える。
「……迎え、くる?」
「ぁ、あぁ。…一応執事がいるからな。」
「…そっか。…あたしも。」
再び繋がれた腕。
……彼女が何を考えているのかはわからない。
さっぱりだ。
ただ、繋がれている手が
とても温かい。
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