変人執事とツンツンお嬢様
少し恥ずかしくて彼女の手を振り払おうとすると
「…鞠千代」
「え?」
「鞠千代」
「えっと…」
「……弥呼。」
「っ!!」
なんで下の名前…
「…弥呼。鞠千代。
まーりーちーよ」
「え……?」
いやいや、意味がよく…
「お帰りなさいませ、鞠千代さま。」
「…うむ。」
気が付くと、校門に着いていて
彼女の執事らしき人が車の横に立って待っていた。
「鞠千代さま、そちらの方は?」
「……ともだち」
「え……」
“ともだち”
それは、私には縁のなかった単語。
「……伊集院さん…」
「…鞠千代。」
「…あっ」
わかった、やっと。
彼女は
「……うん、鞠千代っ!!!」
「…うむ。」
フッ と笑って、彼女は車に乗った。
……なんだろう、この…心が温かくなっていく感じ。
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