変人執事とツンツンお嬢様


それから何も話さず、気が付けば引っ越し先のマンションに着いていた。


壇ノ浦は所有していないが、まあまあ豪華なマンションで

落ち着いた雰囲気が気に入ったのだ。



「では弥呼さま。お体にお気を付けてください。」


「…ありがとう…今まで世話になった…」



ドアを開けてくれる波川さんにお礼を言って

車を降りた。


よかった。

素直にお礼を言えて。



また、心ないことを言ってしまうかと内心ハラハラしていたから。


感謝している人には、素直に気持ちを伝えたい。

お礼を言えるようになりたい。



頑張りが伝わったのか、波川さんは優しく笑ってくれて

私は気持ちよく独り暮らしができるようになった。




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