変人執事とツンツンお嬢様
〜回想〜
コンコン
「失礼いたします、弥呼さま。
夕食の支度が整いましたので…」
「わかった、今いく」
本に栞を挟み、椅子から立つ。
すると、ベッドの脇にある窓から外の景色が見えた。
街灯にライトアップされた木々に混じって、桜の木々も。
「…もう満開か」
「はい、そろそろですね。
お花見のご予定は?」
「いや、ない。
一人で散歩するくらいだ。」
“一人”
その言葉に反応したのか、彼の顔が固まった。
(そんなに反応することないだろう…)
私は一人が好きだ。
群れるより楽で、自由で。
だからキミがそんな顔をする必要は……
「…では、弥呼さま。
わたくしとお花見、していただけますか?」
「……え?」
「よろしければ、伊集院さまもお誘いになって…みんなで騒ぐのも良いものですよ?」
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