変人執事とツンツンお嬢様


「では…楽しみましょうね。
きっと綺麗な桜が見れるはずですよ。」


「…あぁ、そうだといいがな。」





二人で夜空の中の桜を眺める。



なんでこんなにも、穏やかな気持ちになれるのだろうか。




「…もう寝るとするか」


「かしこまりました。ではお支度を…」



スッと頭を下げ、零慈くんは部屋を後にした。




(花見か…)



お母様

見てくれていますか。




私、少しは前に進めたでしょうか。








「……楽しみ、だな」




もし晴れて、花見ができたなら


…少しくらい、彼にも楽しんでもらいたい。

いつも引いている態度は忘れとほしい。


一緒になって騒ぎたい。





(…彼が好きなものは何だろうか)



その日、少しでも彼との距離が縮まることを願った。





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