変人執事とツンツンお嬢様
何を言い出すかと思えば。
本当に掴めない人だ。
「仕方ありません。弥呼さまが楽しみになさっていたお花見です。
精一杯、今以上にお綺麗にさせていただきます…」
唖然とする私に向かい、深く頭を下げる。
その姿だけならしっかりとした執事なのだが…
「……頼んだぞ。」
「かしこまりました、弥呼さま。」
引かれた椅子に座り、頭を彼に委ねる。
優しく…まるで割れ物を扱うように触れる零慈くんの指に
なぜか終始ドキドキしていた。
(……また動機だ…)
何なのだと 聞いてしまえば早いのかもしれない。
この意味不明な動機の理由を。
ただ……なぜか自力で解決したいのだ。
「…どのような髪型になさいますか?」
「任せる。
このワンピースに合っていて、似合うものなら何でも構わない。」
鏡はなく、自分の表情も彼の表情も見えないが
「それは難しい……
弥呼さまは何でも似合ってしまいますからね」
そんな恥ずかしいことを、彼がどんな表情で囁いているのか容易に想像できてしまい
私はまた顔を赤くするのだった。
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