変人執事とツンツンお嬢様
なぜあんなに微笑まれるのか…よくわからない。
でも
(……あんな風に微笑まれるのも悪くない)
今までは知らなかった。
人と関わってこなかったから。
でも彼と……零慈くんと出会ってから、誰かに微笑んでもらえるようになって
それが嬉しいことだと知った。
知ってしまったから…彼の笑顔をみる度に
彼と関わる度に
こんなに嬉しい気持ちになるのだろうか。
「こちらです、鞠千代さま」
「……うむ、ご苦労…」
またも綺麗にお辞儀し、さっと後ろに下がる。
用意してくれた場所は……
「綺麗……」
たぶん、ここにある桜の中で一番大きく
一番色の濃い桜の下。
そこにござが敷いてあった。
「あたしが選んだ場所……3日前から陣取った…」
「3日前!?」
嬉しそうに、いつも通りのボーッとした顔で言われ
私も自然と表情が和らぐような気がした。
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