変人執事とツンツンお嬢様
大きな鏡が待ち受ける洗面所には、私の歯ブラシや洗顔クリームなどが
綺麗に揃えて並べられている。
私は雑な性格ではないが、ここまで几帳面には整理しない。
彼は―――零慈くんは、きっとかなり几帳面だ。
(…それもまだわからないな。)
一緒に過ごした時間はあまりに短く、彼を知る機会も少ない。
………これから、お互いをもっと知るようになるのか。
それはなんだか楽しいようで、難しいようで……そして、少し恥ずかしい気がした。
―――ガチャ…
「弥呼さま、」
「…なんだ、どうかしたか?」
「本日は、1日弥呼さまにお仕えします。」
「あぁ、知っているが」
いきなり洗面所にきて、何を言い出すんだ?
私は鏡越しに、涼しい顔をしている執事を睨んだ。
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