変人執事とツンツンお嬢様


「では、弥呼さま」


「……?」




スッと私の横にきたかと思えば、していた革の手袋を外す。



(な、なにを……)




―――スルッ



「っうひゃ!!?」



私の耳元を、彼の長い指がすり抜けた。



「な、なにをするっ」


「なにを…と仰られましても。
ご覧の通り、お顔を洗ってさし上げようかと。」


「っ、は!?」




そう言いながら私の髪を束ね、ヘアバンドをはめた。


あっという間に洗顔スタイルだ。





「弥呼さまはお水で洗われる方ですか?それともぬるま湯で…」


「い、いらん!!!洗顔の世話はしなくて―――…」





うぐ、と言葉に詰まる。



(…そ、そんな目でみるなっ)


なんとも悲しそうに、いかにも

傷つきました。 というように



潤ませた瞳を向けられては……






それに、




.
< 169 / 173 >

この作品をシェア

pagetop